時は江戸末期、世は文明の発達によって大きく近代化していた。長屋が立ち並び和装に髷を結ったものが行き交う風景は変わりないがその一方で電車や自動車、高層ビルといった近代的なものが発達し、江戸の町は大きな発展を遂げていた。
そんな江戸の町で一人の少女が戦っていた。
「はっ!たあっ!」
「くっやべえな。でもまだまだだ!」
敵が少女に襲い掛かる。すると
「必殺、高速斬り!」
スパッ!ドサッ!
少女は屈強な集団を一網打尽にしてしまった。
「さすが百香ぁ!やるぅーっ!」
「これくらいお手の物よ。」
美少女侍百香 第一話 岡山百香見参!
彼女の名は岡山百香。和装にマントという出で立ちの最強の少女剣士だ。
「じゃあいつものとこ行くか。」
「うんっ。」
百香は幼馴染の近江舞子と行きつけの店に行った。
「へいいらっしゃい!おぉ百香と舞子か。今日もお疲れさん。」
出迎えたのは洋食屋「まつやま」の店長松山俊郎。二人は昔から彼の店に通っているのだ。
「百香ったらね今日もまた腕磨き上げたのよ〜。」
「いやいやそんなことないって〜。」
「百香も女の子なのにたくましいんだね〜。ハハハ。」
三人の談笑は続いた。
夕食を終えた二人は家路についた。
「百香、今日もかっこよかったよ。私も見習いたいわ。」
二人で喋りながら歩いていると
「舞子ーっ!!」
「おっ、お兄ちゃん!」
突然目の前から兄の八兵衛が現れ舞子に抱きついてきたのだ。
「百香がいたとはいえ夜遅いから心配したんだぞ!」
舞子に抱きつきさらには頬ずりまでしだす兄に
「ちょっとお兄ちゃん!人前で見苦しいからやめてよ!!」
顔を真っ赤にしながら言い返す舞子。
そう、八幡は早くに親を亡くして以来舞子を娘のようにかわいがってる故の重度のシスコンなのだ。
すると百香が一言言った。
「舞子はいいよね。兄がいて。あたいは一人っ子だから舞子が羨ましいわ。」
「そっ、そんなことないよ。これでも結構大変なんだから。」
ここでさらに八兵衛が言った。
「そうか、じゃあ百香も俺の妹にならない?」
「あたいはいいや。」
「えーっ。」
三人は喋りながら家に帰ったのだった。
数日後
休日のこの日百香は衣装ケースを前にどこかウキウキしていた。
「今日はどのキャラの衣装着ようかな。」
百香はコスプレが趣味で休日は宅コスをするのが楽しみのようだ。
次々と着替えては鏡の前でポーズをとったりとこの日もコスプレを楽しんでいた。
そして普段の格好に着替えた時だった。
ピンポーン
玄関の呼び鈴が鳴った。
百香が玄関に出ると
「はっ、八兵衛さん。」
そこには凄まじい形相の八兵衛が立っていた。
「まっ、舞子が誘拐されたんだ!」
八幡の一言に驚く百香。さらに
「ポストにこんなものまで届いてたんだ。」
八幡が持ってきた封を開けるとそこには
(舞子は預かった。返して欲しければ現場まで来い。場所は街の裏の廃墟ビルだ。)
「なんてこった。舞子がこんな目にあうなんて・・・」
あまりのショックにうなだれる八兵衛。さらに
「裏にも何か書いてある。」
百香が裏にも何か書かれてる事に気づいた。そこには
(ビルには時限爆弾を仕掛けた。タイムリミットは24時間だ。もし24時間超えたらビルは跡形もなく爆発する。)
「もたもたしてる場合じゃない、急ごう。」
百香は刀を腰に指すとすぐに八幡とともに現場に向かった。
その頃舞子は
「・・・ん、ここは?」
意識が戻ると舞子はロープで壁にくくられていた。そして目の前には数人の男が
「気がついたか舞子。」
男の一人が声をかける
「何よこれ!早く縄をほどいてよ!!」
舞子は必死で抵抗するが
「生憎だが俺らのボスがお前を気に入っていてなボスの許可無しには解放できないよ。」
(百香、お兄ちゃん・・・早く来て・・・)
一方百香と八兵衛は現場の廃墟ビルについた。
中に入り階段を探すが階段は防火シャッターで閉まっていた。
「階段無かったらどう登っていくんだよ!」
「今登れる所探してるから落ち着いて!」
完全にパニックに陥る八兵衛をなだめる百香。すると
「あそこにエレベーターがあるぞ!」
階段の横にはエレベーターがあり、しかも動いていた。
「これで登っていこう。」
二人はエレベーターに乗り込んだ。
一方の舞子は必死で縄を解こうとするもなかなか解けない。すると
「俺がそんなに気に入らないか!」
ボスが問いかける
「当たり前よ!こんなことして何になるの!!」
するとボスは思いがけない行動に出た。
ボスは日本刀を取り出すと舞子に突きつけた。
「これで終わりだな。」
ボスが刀を振りかざした時だった。
スパッ!ドサッ!
突然ボスがその場で倒れた。そして
「岡山百香ここに見参!舞子、救出に来たで。」
百香はボスを斬り倒すとすぐに縄をほどいた。
「百香、お兄ちゃん!」
「舞子ォォォォ!!!」
八兵衛は舞子に駆け寄るとその場で抱きしめ頬ずりした。
その後ボスが起き上がると百香は男たちを前にこう言った。
「お前らそんなに女が欲しかったら合コン行くなり人助けするなりいろいろあったでしょ。何でこんな真似をしたの?」
百香の問いかけにボスは
「俺はこの歳になっても結婚できないことに焦っていたんだ。もうこうなったら手段なんてどうでもいいと。」
ボスの答えに百香が動いた。
「諦めたらもうどうでもいいのか?確かに諦めたくなる時もある。でも諦めたらそこで試合は終わりなんだよ!ともかく、あたいの仲間を傷つけたからにはお前らを終わりにしてやる!!」
百香は勢いよく斬りかかった。
その後も一進一退の攻防は続き
「必殺、高速斬り!!」
百香の高速斬りで敵は一斉に倒された。
敵を倒し、安堵につく百香。すると舞子があることに気がついた。
「あと5分で爆発するわ!」
さらに再びボスが起き上がって
「5分で爆発だ。フハハハハ!」
タイムリミットまであと僅か、もたもたしてると爆死してしまう。
「みんな急ぐわよ!」
百香の合図で一斉に動き出した。しかし
動き出したはいいもののエレベーターを使ったら万一閉じ込められた時に爆死してしまう。階段を使おうにも全部防火シャッターで閉ざされている。百香が考えた手段は
「非常階段で降りよう。」
廊下の先には非常階段がある。百香はドアを開けると一斉に駆け下りた。
非常階段を降りるとそこには警察が待機しており、警察は一斉に犯人たちを取り押さえた。
「ご協力ありがとうございました。」
その後パトカーは一斉に警察に向かい、百香たちもビルを後にした。そして
ドカーン!ドドーン!
ビルは爆発で跡形もなく崩落し、跡地には瓦礫だけが残った。
後日犯人たちは略取誘拐・殺人未遂・爆発物取締法違反などの罪で無期懲役が求刑された模様。そして
「私百香のサポートがしたいわ。」
舞子は百香の相棒になったようだ。
終わり
というわけで美少女侍百香の記念すべき一話目を書きました。序盤は主要組のキャラを掘り下げて後半バトルって感じでやって行きましてさらに記念すべき一話目なのでやや長めに書きたいと思って3日ぐらいかけて書きました。これからも美少女侍百香をよろしくお願いします。ここまで読んでくださりありがとうございました。